『地方議員の逆襲』要約

中村なおあき

2017年05月10日 05:34





〈現状〉
住民が政治に対し無関心である為、選挙が無風化しており、質の悪い議員が当選しやすくなっている。本来の役割が果たされず、首長の提案を追認するだけの「太鼓持ち」レベルの人が集まっており、地方議員の劣化が激しくなっている。これは住民のレベル以上の議員が選ばれない事に起因する。
就業人口の8割以上がサラリーマンである社会にもかかわらず、サラリーマンが会社勤めをしながら議員を務めることが出来る仕組みになっていない。自営業者や退職者、無職者しか立候補出来ない状態にある。
議会だよりについては、議会の様子を報告している〝つもり〝の自己満足であることすら気付いていない。議会報告会についても同様で、人を集めて、〝聞いた〝と言う実績だけが欲しい様に見受けられる。

〈議会本来の役割〉
・決定者(まちの方向性を決める)
・監視者(行政の暴走を防ぐ)
・提案者(まちづくりの先頭を走る)
・集約者(住民の意見をすくい上げる)





〈筆者の言わんとする事〉
戦前は、満25歳以上の男子で、多額納税者のみが有権者の地位を有していた事を改めて思い起こしてほしい。選挙権・被選挙権は当たり前の権利ではない。もっと権利を大切にすべきである。
従来の国の示したモノサシを金科玉条とし、何の創意工夫もしない自治体と、持てる力を使ってあらゆる創意工夫をして政策に改善を加え、新たな政策を次々に生み出していく自治体とでは、この先10年も経つと大きな「政策差」が生じる。それは地域間の明確な「能力差」である。
議会が変われば自治体が変わる。自治体が変われば国が変わる。議員諸氏の奮起に期待する。



〈参考になる事項〉
議員力検定(議員レベルの向上を図る)。
・住民による評価。点数化(相模原市が参考になる)。
・政務活動費について
第三者による使徒の確認(何に使われているか分かったものではない)。
グループで使う(他人の目に晒されることで悪事を防ぐ)。
政務活動費の半額を共同出資し、法科大学院修了生を登用する「法制局」を作る(地方の議員や議会事務局だけでは、到底条例の制定にまで漕ぎ着けることは不可能。専門家による支援が必要)。
・議員として選ばれた地域の上位2割の人と同等の報酬とする(なかなか決め辛い報酬額の目安。公に選ばれた特別職である為、それなりの扱いをすべき)。
・会社に勤めながら議員を兼務出来る仕組み作り。
夜間議会、土日議会、公職有給休暇制度(結果的に自治体の人件費の圧縮につながる)
・視察報告書は全員が提出し、公開する(公費を使った慰安旅行にならない為に)。